除菌剤を空間に噴霧して、空間全体の除菌をしたいのですが…
人体に有害な可能性があるため、お勧めしません。
除菌剤を人がいる空間に噴霧するのは大変危険です。
なぜなら、ウイルスを変性させる成分は、人体にとっても有害だからです。
では、ウイルスの「変性」とは何でしょうか? ウイルスは生き物ではありませんので、「殺す」ことはできません。
「殺す」代わりに、ウイルスを構成するタンパク質や脂肪を「変性」させることで、ヒトに感染・増殖できないようにしています。
つまり、ウイルスのタンパク質や脂肪を変性させる効果のある除菌剤は、ヒトの細胞膜を構成するタンパク質や脂肪をも変性させてしまうおそれがあります。
口や喉、皮膚などは、日常生活でも飲食物が通ったり陽に当たったりしているため、比較的丈夫です。
一方で、目、気管、気管支、肺などは非常にデリケートです。
そのような部分に除菌剤が入り込むと、大変デリケートな私たちの体の細胞膜が変性してしまう可能性があります。
加湿器などに入れて、除菌剤をまんべんなく空間に行き渡らせたり、除菌剤のミストを浴びたりといった、一見、手軽で効果がありそうなこれらの行為は、私たちの体に触れた除菌剤が、大切な細胞膜を変質させてしまう危険性をはらんでいます。
安全に除菌するため、上記のような危険性のある使用方法は避けてください。
吸い込まないように注意して空間に噴霧すれば除菌できますか?
小さなウイルスや菌に対して、ピンポイントで除菌剤を噴霧することは大変困難です。
例えば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の大きさは直径0.1㎛。髪の毛の太さの800分の1程度の非常に小さく軽い物体です。
このように、目に見えない極微細な目標に対して、正確に除菌剤を噴霧することはできません。
サイズの問題のみではなく、非常に軽い物体は、噴霧した除菌剤が当たらずに噴霧の勢いで更に飛ばされてしまう可能性が高いです。
細心の注意を払っていても、噴霧の際に除菌剤を吸い込んで体調を崩してしまう可能性があるため、下記の方法に則って正しく除菌剤をご使用ください。
厚生労働省のWEB上にも、空間噴霧についての記載がありますので、以下のページの【5.)(補論)空間噴霧について】の項を是非ご一読ください。
モノを拭くとき 除菌剤を雑巾やペーパー、不織布などに吹きかけ、十分に湿らせた上で対象物を拭いてください。その際、往復で拭かずに、一方向で拭くことをお勧めします。
直接噴霧するとき 除菌剤が目に入ったり吸い込んだりしないように、スプレーは首から下に構え、ノズルを斜め下方向に噴霧するよう心がけてください。お風呂やトイレ、流し台等、拭き取る必要のない場所へはそのまま噴霧しても構いません。
コストもかからず、安全なのが「換気」です。
こまめに換気して、空気を入れ変えましょう。